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Satoko さん

移動式コンサートカフェ空間を作ろう!


ライブでのワンショット

分子遺伝学的完全寛解に達したのは、今から7年前のことです。さらに2011年には休薬状態になりました。もっと長い歳月がかかると思っていましたので本当に信じられない気持でした。けれど、心の内にはすっきりとしないものもありました。数値が正常値になったとしても、それで本当の意味での“治癒”に至ったと言えるのか――がんによって傷つくのは身体だけではありません自分や周りの人の心が癒えるまでは長い時間がかかるはずです
「じつは俺も死のうと思ってた」。今年の夏、夫がふと漏らした言葉です。ライブが終わり、バンドのプロデューサーと3人で飲んでいたときでした。過去形のその言葉を聞いて「やっと区切りがついたのだ」と感じました。夫も悩み、苦しんでいたのです。思えば長い歳月でした。

がんなどの病気や障害を持つ方々、周りの方々を支えたい―― 2013年4月に設立した「カフェ フェリシダージ」は、全国どこへでも出かけていく移動式コンサートカフェ空間です。病気を抱えている方は孤独感に陥りがち。話し相手もなく、ひとり悩んでいる人は地方にも大勢おられます。レストラン、カフェ、病院、公共施設、ホール、寺院―― 場所は問いません。毎回、ゲストのスペシャルトークと、私のミニライブを開催。その後、みんなでお茶を飲みながらゆったり語り合います。
「フェリシダージ」とは、ポルトガル語で「幸せ」という意味ですが、「カフェ」には茶の湯の精神をこめたつもりです。立派な器がなくても、たとえ茶葉すらなかったとしても、お湯一杯でよいから相手をもてなし、心を温め、落ち着かせてあげる―― この精神こそ茶の湯の心なのだと、茶道の先生に教わりました。
目指したのは、音楽やイベントを楽しめるだけの場ではありません。誰でも気軽に参加でき、直接つながりあえる。自分や周りの人ががんを経験していても、ありのままの自分を素直に語り、分かち合える。お互いに励まし合えば、日常の小さな幸せに気付いたり、やりたかったことを実現するきっかけがつかめるかもしれません。
仕事の都合上などさまざまな理由から、CMLであることを周囲に言えない方も大勢います。見た目からはわからないので、当然ながら電車などで具合が悪くなっても助けを請えない、というつらさもあります。妊婦さんが付けているような患者用のバッジでもあればいいのですが……。
CMLを発症し、現在は薬を服用することなく寛解を維持できているこの経験を貴重なものと受け止め、ふさわしい生き方をしたい。自分の役目を全うしたい―― 今はそんな思いでいっぱいです

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