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病気について

監修:三谷 絹子先生(獨協医科大学 血液・腫瘍内科)

Q8
分子標的治療薬によるCMLの治療は、どのように発展してきたのでしょうか?
A
分子標的治療薬によるCMLの治療は、BCR-ABL遺伝子からつくられる「BCR-ABL蛋白」のはたらきを抑えて白血病細胞を減らすことを目的としています。
BCR-ABL遺伝子はフィラデルフィア染色体上にあることが知られていますが、このフィラデルフィア染色体は1960年に米国・フィラデルフィアにあるペンシルベニア大学の2人の研究者によってCMLに特徴的な染色体異常として初めて報告されました。その後1973年にJanet Rowley氏(シカゴ大学)によって9番染色体と22番染色体が入れ替わってつながったものであることが明らかにされました。そして、ふたつの染色体がつながるとき、それぞれの切り口にあったBCR遺伝子とABL遺伝子がひとつになり(融合し)、BCR-ABL遺伝子が新しくでき、この遺伝子こそが、CMLの原因遺伝子であることが明らかになり、この発見はCML研究に大きな転換点となりました。

また、現在の分子標的治療薬によるCML治療を世に出すために貢献したのは、Brian Druker氏(オレゴン健康科学大学)です。Druker氏はBCR-ABL蛋白のはたらきを選択的に抑える分子標的治療薬がCMLに効果があると信じ、臨床研究を重ね世の中に発表しました。1999年の第41回米国血液学会では、分子標的治療薬により、96%のCML患者に血液学的寛解が得られ、細胞遺伝学的寛解も認められるという、当時としては衝撃的な発表がDruker氏によってなされました。

Rowley氏とDruker氏の研究は、「CMLの診断と治療の著しい成果向上」に貢献したと認められ、2011年アメリカ血液学会(ASH)において”ERNEST BEUTLER LECTURE AND PRIZE”を受賞しました。
さらに、2012年にはがん特異的分子を標的とした新しい治療薬を開発したことが、科学技術の進歩と人類の平和と繁栄へ寄与するとして、Rowley氏とDruker氏及びCML治療薬をDruker氏とともに開発したLydon氏が日本国際賞(「健康、医療技術」分野)を受賞しました。